祇園祭

昨日大学時代の友人に誘われて祇園祭に行ってきた。阪急京都線に乗り込むとき、浴衣姿の婦人方を何人か見かけた。浴衣はいいものだ。色鮮やかな浴衣を纏って華やかに談笑する婦人方は皆美人に見える。制服マジックの変則バージョンだと思う。

予定より少し遅れて烏丸に着いたけど、友人と連絡がつかない。やっと電話がかかってきたと思ったら
「ごめん、今竜馬の墓をお参りしてた。さっき誘おうと思って電話したんだけど。」
そう、電話をもらったときはまだ電車の中だったので出られなかったのだよ。河原町で待ち合わせることにして、そこまで歩くことにした。

渋滞のなか河原町まで行ってみると、彼の姿は見えない。電話をしても留守電に飛ばされてしまう。しばらく歩き回っていると、彼らしき後姿が見えた。今年からサラリーマンになった彼の後姿は少し疲れているように見えた。電話が通じなかったのは電池が切れていたらしく、コンビニで買った充電器を携帯につけていた。曰く、
「駅員のおっさんに充電させてって頼んだら駄目だって言われた。仕方ないからコンビニで充電器買ったらコンビニのおっさんが電池をプラスマイナス反対に入れてて充電できなくて時間を食った。」
ああ、やっぱりいつもの彼だ。と思って少し安心した。
「女の子の店員さんだったらもっと寛大な気持ちになれた?」
って訊いたら返事はYESだった。

少し京都の町を歩いて、祇園祭の行列に混ざって烏丸まで歩いて、その後夕食をとりに梅田へ出ることにした。彼の長所は即断即決。短所は行き当たりばったり。その長所と短所の両方を活かして宿も決めずに関西まで出てきた彼と一緒に、僕は彼が今日泊まるホテルを探して梅田の町を徘徊する羽目になってしまった。彼のおぼろげな記憶を頼りにたどり着いたのはホテル阪急インターナショナル。リッチな雰囲気に豪華なロビー。貴族の宮廷のリビングのようなフロントに案内されて、祇園祭のうちわを持った明らかに場違いな姿の彼はフロント係の前に立った。しばらくして、彼は笑いながらこっちへ歩いてきて一言。
「撤退だ。」
値段が高過ぎたらしい。結局別のホテルに落ち着いて、ようやく夕食にありついた。僕が来年度から働き始めるから、そのときは僕がおごるという約束で、今日のところはおごってもらった。持つべきものは社会人の友人だ。

結局11時過ぎまで二人でお互いの近況から大学時代の話、共通の友人の悪口や賛辞をしながら過ごした。最近色々うまくいかないことが重なって気が滅入りそうになっていた僕も、新天地で独り慣れない環境と仕事に悩みを抱え、ホームシックになっていた彼も、気心の知れた相手としゃべり尽くすことで大分元気を取り戻すことができた。持つべきものは大学時代の友人だ。だからeggerも来ればよかったのに。

多分友人はこの文章を読んでるだろうからメッセージを一言。「昨日はどうもありがとう。また一緒に、今度はもっと大勢集めて、何かしましょう。」