物理学的オムライス

今日は用事で大阪に出てきたマミと一緒に梅田で夕食。ヨドバシカメラの食堂フロアにあるオムライスのポムの樹に行った。可愛らしい外見のお店なので、男2人で入るのは若干の勇気が必要だ。我々は勇気を総動員して店に入った。

マミは明日から仕事なので、今日中に浜松へ帰らなければいけない。というわけで今日のメインは短い近況報告会だった。話は当然のように物理学の方向へと進んでいく。物理学の研究に対する情熱を失い、一刻も早く研究から足を洗いたい僕と、その正反対のマミだけど、結局のところ物理学が好きだという根底に変わりはない。ただし僕はもう戻る気はない。日一日と物理学の知識を忘れ、勘が衰え、かつての思考能力を失っていくのをリアルに感じながら、それでもそのことを本気では悲しんでいない自分が現実にいる。物理学の研究をしない以上、物理学の細かい知識は何の役にも立たない。第二量子化グリーン関数ファインマンダイアグラムも、そう遠くない将来には頭の片隅の錆ついた記憶の1つになるに違いない。そんなもの趣味でできても何も生み出さないから。そして一般常識程度の知識だけが生きた知識として残される。そうやって僕は物理学に関しては凡人になっていくのである。そう考えると少し寂しいのだけど仕方がない。これが研究から逃避したことに対する代償なのだから。「シュレディンガー方程式を美しいと思わないか」ってマミに訊かれたけど、今はただ見るだけで胸が苦しいだけである。それはゴミ捨て場に捨てた大切なものを振り返って見るときの心の苦しさに似ている。また、それは暗い記憶への引き金でもある。

こういうことを言葉にしてその場で語るのは難しい。だからこうやって思いついたときに、文章にしておくのである。マミさん、また会いましょう。是非遊びに来てください。こんなこと書いてるけど、物理の話は構いません。基本的には好きですから。