映画館のポテンシャルバリア

ここのところ長い間映画館へ映画を見に行っていない。もっぱらテレビで放送されるのを待つか、DVDを借りるくらいだ。映画館は何となく敷居の高さを感じてしまう。入ることにではない、お金を払うことにだ。

僕の好きな映画は007だ。しかしこれも最近の「ワールド イズ ノット イナフ」、「ダイ アナザーデイ」ともに見に行っていない。「カジノ ロワイヤル」も未定だ。

007はまぎれもなく頭脳を使わずにみることができる娯楽映画である。内田樹さんの言葉を借りればパッパラパアクション映画だ。

参考:007全巻制覇の旅が始まる(内田樹の研究室 さん)

しかしながら僕が007が好きなのはまさにその点であって、しかもそれ故に映画館へは行けないのである。なぜなら、その映画が映画館でお金を払って見るほど価値のある映画かどうかがわからないからだ(他の映画も同様)。

しかしこれはまあ、ある意味解決のしようのない問題ではある。その映画に映画館でお金を払うだけの価値があるかどうかなんて、実際見てみないとわからない。

では、どうやって映画館でお金を払う価値のある映画とない映画を判断すれば良いのか。

それにはいくつかの方法が考えられる。1つは、映画監督やキャスティング、スタッフについて詳しくなることだ。「あの監督は以前あんな大ヒット作を生み出した」とか、「あのスタッフはあの映画の製作に関わっていて、しかもそれはとても評判が良かった」など、映画を製作している人達のインデックスを自分の中に作るのが良さそうだ。

でもそれだけでは十分ではない。インターネットと検索エンジンが発達したこの時代、それくらいのことはチチッと検索してしまえば得られる。だが、そうして得た情報は結局他人のものであり、それらを総合すると「面白いようだ」という結論が得られたところで、自分にとって本当に面白いかどうかはわからない。

ではどうすれば良いのかというと、結局そういったインデックスを自分のものとして登録するために、はじめはお金を惜しまずたくさん映画を見に行くしかなさそうだ。要するに、将来、映画を見に行く前に価値のある映画を判断して、行ってから残念な思いをしなくていいように一定期間投資をするわけだ。

そこまでするほど映画が好きな人にとっては費用対効果が高くて十分意味のある投資になるが、そこまででもない人にとってはあまり意味はない。僕はどちらかと言えば後者のタイプなので、これまで通りテレビやDVDで我慢するのがいいだろう。

しかしながらここに例外が1つある。映画館は映画を見る場所だが、もう1つ重要な役割として、お決まりのデートコースという位置付けがある。この場合、上の様な論理を振りかざして映画への誘いを断るのは男として絶対にしてはならないことである。だから、女性から「〜っていう映画が見たいんだけど、一緒に行かない?」などと言われた日には、とてつもなく忙しいなど別の理由がないかぎり、一緒に行ってあげるようにしましょう。

ある意味自分への反省をこめて。