ためらい

高速教習に行ってきた。雨に降られることもなく、曇り空の下での教習である。高速教習は二人で一組だったので、先に相手が運転して高速道路まで走ってもらう。走り始めてしばらくして、彼は9月の頭に教習を受けて以来車に乗っていなかったことがわかった。普段マニュアル車だから乗り慣れないオートマとはいえ、やけにブレーキがきついと思った。よりによって高速教習のパートナーが危険な相手とは、と思いつつ観念して高速道路に乗る。100キロを余裕で超える運転に、後部座席の僕の顔は強張っていた。頼むから僕を殺さないでくれ。高速から降りるときもゲートに向かって突っ込んでいく。ブレーキ、ブレーキを踏んでくれ。

乗り代わって今度は僕が高速に乗った。僕は反対にスピードに対して臆病なので、アクセルを踏み込むのをためらう。隣の教官から、「もっとアクセル」と怒られた。周りの車との相対速度が0になるようにした方が怖くないと教えられて、実践したら本当だった。おお、100キロ出しても怖くないぜ。ただしそんなスピードで走っている自分は日常生活ではありえない運動量と運動エネルギーを持っている。これはどうも人間の自然に反しているような気がする。

運転中は手と足が強張り、顔が引きつっていたに違いない。心臓に悪い、というか精神衛生上よろしくない教習だった。ますますやせるぜ。