姉上様、しっかりしておくれやす

先日姉上の家にいたときの話。最近料理本を見ながら自炊にはげんでいる僕は、姉貴の代わりに御飯を作ることにした。姉貴に材料の買い物を頼んだら、しめじって言ったのにえのきを買ってきて、青ネギはあるかと聞いたら白ネギはあると答え、豚肩ロースと言ったらしゃぶしゃぶ用の肉が出てきた。絶句した僕に「まあ、何とかなるって」と答え、姉貴は上の甥の髪を切りに風呂場へと去っていった。姉貴、しっかりしてくれよ。

仕方がないので与えられた材料で調理を進める。肉ときのこを炒め、塩、胡椒を振り、醤油で味付けして片栗粉を入れてあんかけにする。「さて、このあんかけ何にかけるんだったっけ」ってしばらく考えたんだけど思い出せなくって、ようやく思い出したときに僕は青くなった。そうだ、このあんかけは両面にこげめをつけた厚揚げにかけるのに、厚揚げを買ってきてもらうのを忘れていた。姉貴の失敗を笑ってらんないよ。急いで近くの店に買いに行ったんだけど売り切れてて、少し遠くのスーパーまで歩いたら閉店していた。結構歩いたのに。

仕方がないので普通の豆腐を使うことにした。何だか全然違う料理になってしまった。「美味しい」って言ってもらったんだけど、僕の心は複雑だ。予定では「厚揚げのきのこあんかけ」ができあがるはずだったのに、完成品は昔給食で食べたすきやきそっくりの味になった。晩御飯の後、姉貴は下の甥を寝かせた後一緒になって寝てしまい、起こすように頼まれていた僕が起こしにいくと、今度は居間で寝始めた。姉上様、お疲れ様でございます。