速読のどこがいい

月曜日にふと本棚から取り出した本に、速読術の話が書いてあった。昔は一瞬でページを読み飛ばす速読術に魅かれたこともあったけど、今は全く興味がない。むしろ嫌悪感を感じるくらいである。

本を読んでいる時間はとても幸せなものである。面白い本であればあるほどどんどん読んでしまう反面、終わりが来なければ良いのにと思う。この時間がずっと続けば良いのにと思い、読み終えると「読み終えちゃったよ。明日から何読んで過ごせばいいんだ」なんて言い出す始末だ。この、早く結末が知りたい思いといつまでも結末が来なければ良いと願う思いと、2つの相反する思いが読んでいる最中に共存する本が、個人的に大変素晴しい本として記憶に登録される。

本はただ読んでストーリーを理解することに意味があるのではない。読んでいる最中に読者の心の中で文章が時間をかけて醸成され、その本を読む前の自分と読んだ後の自分が別人になっていることに本を読む意味(の一つ)があるのだと思う。従って速読は読んだ内に入らない。文章を追って何が書いてあるのかわかることと、読書することは別のことなのである。ん〜、あまり説得力がないな。