カミュを読む

今読んでいる本はカミュの「ペスト」。「異邦人」を読んだら思いの他面白かったので、もう一冊読むことにしたのだった。ちなみに僕はカミュについて説明できるほどカミュについて知らない。サルトルとの論争に負けたことくらいしか知らない。

個人的には、カミュを読む前に村上春樹を読んだのは正解であった。村上春樹的「雪かき仕事」に触れずに、ペストに侵された町の英雄の意味が理解できたとは思えない。また、内田樹先生の「死者と他者」を読んだのも正解であった。これを読まずに「異邦人」を読んだら、主人公が母の葬儀について語っている言葉が何のことやらさっぱりであっただろうと思う。

「死者と他者」は、読んだときはほとんど理解できなかった。でも最近は少しわかりかけてきている気がする。何人かの知り合いの死を受けて、自分に直接責任があるわけではないものの、その責任を自分のものとして引き受けて彼等のことを思い出す度に姿勢を正す自分の姿に気が付いたとき、レヴィナスが他者論で言いたかったことが理解できた。ラカンによるレヴィナスってそういうことだったのね。彼等はまさしく存在するとは別の形で自分に関わってくる。それに気がついたとき、村上春樹の「ダンス ダンス ダンス」も同じ構造を持っていることがわかった。数ページで止まってしまったレヴィナスの「全体と無限」に、もう一度挑戦してみようかと思う今日この頃である。少なくとも半年前よりは読めるかもしれない。

ペスト (新潮文庫)
ペスト (新潮文庫)
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カミュ Albert Camus 宮崎 嶺雄
新潮社 (1969/10)
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5 カミュの最高傑作
5 終わりに神はない
5 ペストの壁の中で