ある受験者の受難

今週頭の日曜日、基本情報技術者試験を受けに行ったときの話である。実は試験当日は2時間しか睡眠をとっていない。普通に考えれば、直前まで勉強していたのね、と言われてもおかしくないところだけど(実際に言われた)、単に昼夜逆転していたので眠れなかっただけである。前の日の晩、眠れずにベッドの上で転がりながら、羊の数を数えるが如くワインの本と雑誌を出してきてワインの銘柄を眺めていた。それでも眠れずに、結局寝付いたのが午前4時過ぎ、起きたのが6時過ぎであった。この場合起きれたこと自体が奇跡に近いと言える。

会場は桃山大学。泉北高速鉄道和泉中央まで行かなくてはいけない。なぜそんな辺境でやるんだ、という文句を垂れつつ目をこすりながら起き上がり、ネットを立ち上げて路線を調べる。余裕を持って電車に乗り込んで、参考書と問題集をひろげてよく間違える箇所のチェックをした。最後の乗り換えをしたところで電車の中を見回してみると、同じ目的で来ている人が結構いた。そんなわけだから、駅から会場までは人の流れに沿って行けば良かった。

会場に着いた頃には寝不足のせいで頭が朦朧としている。いずれにしろ持って行った問題集をそれ以上やっても仕方なさそうだったので、カミュの「異邦人」を読んでいた。周りは必死に勉強している。ご苦労様です。そうこうしている内に試験開始。当然はじめは午前問題。寝不足で頭が働かないのではないかと思っていたのだけど、始まってみると脳みそのパフォーマンスは70%台は出ている。生来の馬鹿真面目さに体の方も付き合ってくれているようで感謝。初めて見る問題もあったけど、参考書でも問題集でも見た覚えがない(後で確認しても確かになかった)。そういう問題は勉強不足とは関係ないので罪悪感なしに勘で答える。大概の問題は既知であったので多分大丈夫(落ちてたら恥ずかしいなぁ)。ただ気になるのが、どこかで見たことがあるのは確かなのだけど、どこで見たのか一向に思い出せない問題が複数あったことである。家に帰ってから手持ちの本を総ざらいしてみたけどやっぱり見当たらない。不思議である。

午前問題が終わって昼休憩。外でコンビニのおむすびを2つ食べ、部屋に戻る。午後問題は応用問題だ。今更勉強したところで手遅れなのでやっぱり本を読みながら時間を潰した。しかし、本当の問題はこの午後問題の最中に起こった。寝不足による頭痛と吐き気に加えて、昼御飯が足りなかったため空腹が加わり、目が回り始めた。必須問題は何とか耐え、残りは選択問題だ。ところが、C言語の一問目を解いているときに、それは起こった。もうテスト中ではありえないくらいハイテンションになっていた僕の頭の中で、ラーメンズの「日本語学校アメリカン」が再生され始めたのだ。
小林「オープン ユア テキスト ペーィジ ワーン!」
片桐「イエーィ!」
全てのコードをこんな調子で読み始め、しばらくすると本格的に頭の中がラーメンズで満たされ始めた。そしてラップ調になるくだり、
小林「太閤検地、刀狩。打製石器磨製石器吉野ヶ里。」
「ワドウカイホウ。ワドウカイチン。明石原人。」
片桐「田中角栄。」
もう止まらない。

ようやく「ラデンシタンノゴゲンビワ!」で区切りが付くと、今度は片桐仁つながりで、夏に見に行ったPiperの「ひーはー」を思い出し始めた。「のろいから梅酒でドーピング」のくだりを頭の中で再生し始めると、ついに顔がにやけ始めてしまった。試験中にニヤニヤ笑っているどう考えても怪しい私。かろうじて声に出して笑うのだけはこらえることができ、苦しみもだえながらも最後まで解くことができた。試験時間終了前に見直しまで終わったので、提出して退席し、ふらふらになりながら家に帰った。試験自体は多分大丈夫だと思う。自己採点はめんどくさいのでしない。これで受かっていたらそれこそ奇跡というものである。

ところで「ひーはー」の公演のカーテンコールで、脚本をつとめたPiperの後藤ひろひとさんが「皆様の中にはお帰りになった後で今日の公演のことをホームページやブログに書かれる方もいらっしゃいますでしょうが、このストーリーを説明することは皆様ごときには無理でございます。」と言っていた。確かに無理である。あの面白さは見ないとわからん。「公演を見に来られなかったお友達には、DVDを販売いたしますのでそちらを勧めて下さい。」というわけで。

ひーはー
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